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トピック:スタートアップとベンチャー

現金を声に出して数える水曜

取締役会の資料を送る前、水曜

財務 グロスのバーンレートが月六千万。ネットバーンは七月の値上げのあとで三千五百万です。

代表 残高で割ると、ランウェイは。

財務 十四か月。十月に二人採ると十一か月になります。

社外取締役 十四は、何も良くならなかった場合の正直な数字ですね。その中で黒字に届きますか、届きませんか。

財務 いまの計画なら、来年の第3四半期に。ぎりぎりですが。

社外取締役 ではデフォルト・アライブだと、一文で先頭に書いてください。読む側が最初に知りたいのはそこです。

社外取締役 燃やした現金に対して、増えた経常収益はどれくらいですか。

財務 バーンマルチプルで三を少し超えます。

代表 売上のところはARRで四億二千万と書きました。

財務 それはランレートです。うち六千万は一社ぶんの移行案件で、二度と起きません。契約ベースなら三億六千万。

社外取締役 両方を、それぞれ名前をつけて載せてください。どうせ訊かれます。訊かれる前に言ったほうがいい。

代表 継続の話は明るいです。NRRは、去年の百に対して今年は百十八。

財務 金額で見ればそうです。ロゴチャーンで見ると、四十一社のうち九社が抜けました。全部小口で、全部セルフサーブでした。

社外取締役 四十一のうち九は、注記ではなく本筋です。それで、エンタープライズはいま獲得にいくらかかりますか。

財務 CAC回収期間で十四か月。セルフサーブは五か月です。

社外取締役 抜けているほうが、先にお金を返してくれる客層ということですね。全社の平均ではなく、客層ごとのユニットエコノミクスで出してください。ルール・オブ・40では。

財務 伸びが二十五、利益率がマイナス三十。足して五です。

社外取締役 では十四か月と計画を先頭に置いて、五は向こうに見つけさせましょう。

表計算が一枚。そこに並ぶどの数字にも二つの言い方があります。正しいほうと、見栄えのするほう。一時間は、どちらを資料に載せるかで過ぎます。

インクの線で描いた表計算の紙。折り目のついた印刷で、月の列が右の端からはみ出している。折り目の近くの一マスが黄土色の四角で囲まれ、横に電卓
どの数字にも、正直な言い方と、見せるための言い方がある

お金の話は、出ていくものから、戻ってくるものへ進む

はじめは毎月口座から出ていく額と、それで何か月もつか。次は売上へ移り、契約している金額と、掛け算で伸ばした金額の差が問題になります。終わりはお客さん自身の話。誰が残り、誰が抜け、一人を見つけた手間が返るまでに何か月かかるか。

バーンレートBurn rate

会社が毎月現金を減らしていく速さ。誰が聞くかで、総額で言うか差引で言うかが変わる。

デューデリでは、直近十八か月のバーンレートを月ごとに求められた。

誰もが最初に訊く数字で、どちらの言い方なのかを添えずに引用されることがいちばん多い数字。

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ネットバーンNet burn

出ていく現金から入ってくる現金を引いた額。毎月、実際に残高が減る分。

値上げの後、ネットバーンは月30万ドルまで下がった。

通帳と話の合うほうの言い方。同じ月について二人が別のことを言い、どちらも正しくなってしまう原因です。

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ランウェイRunway

今のバーンで現金が何か月もつか。調達の時期はこの数字から逆算する。

ランウェイ五か月で来たので、タームシートは早く動いた。

調達の日程を合わせる相手。計画に書いてあることは、たいていこの一つをめぐる言い分です。

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「ランウェイ」のカードの裏面を開いたアプリの画面
アプリでは「ランウェイ」のカードに音声がついています
トピック内の検索画面。見つかったカードが5枚
言葉の一部でも探せます

デフォルト・アライブDefault alive

今の成長と支出のままなら、現金が尽きる前に黒字へ届く状態。

この計画なら、第3四半期にはデフォルト・アライブになる。

話のいちばん奥にある問いで、はいかいいえで答えられる数少ないもの。部屋の気分ではなく、計画の性質です。

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バーンマルチプルBurn multiple

その期間に燃やした純現金を、同じ期間に増えた純経常収益で割った値。

パートナー会議で引っかかったのが、バーンマルチプル3.5だった。

伸びているというだけでは通らなくなったとき、投資家が手を伸ばす比。使った額と、それで増えた額を並べます。

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ARR(年間経常収益)ARR

今有効なサブスクリプション契約の、年あたりの金額。

6月にARR400万ドルを超えた。

どの取締役会資料でも見出しに来て、いちばん引き伸ばされやすい数字。

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ランレートRun-rate revenue

直近の期間の売上を年に引き伸ばした数字。繰り返さない一度きりの売上も混じる。

それはARRでなくランレート。半分は単発のコンサル案件だった。

引き伸ばしたものに、誰かが名前をつけたときの呼び名。良い月を十二倍したものは、指標の服を着た予測です。

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NRR(売上継続率)Net revenue retention (NRR)

既存顧客のまとまりが一年後に払う額。増額・減額・解約をまとめて数える。

NRRは118%。新規ゼロでも既存だけで伸びる。

新しいお客さんが一人も来なくても、会社を伸ばせる一行。百を超えると、去っていった人まで隠せてしまいます。

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ロゴチャーンLogo churn

その期間に失った顧客アカウントの割合。金額でなく社数で数える。

ロゴチャーンは高いが、抜けたのは全部小口。

金額の言い方が隠すもの。お金ではなく相手の数を数えると、注記が本筋に戻ります。

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CAC回収期間CAC payback period

獲得にかけた費用を、その顧客の粗利で取り戻すのに何か月かかるか。

エンタープライズのCAC回収期間は十四か月。

営業と財務の意見が分かれる地点。この客層なら倍払っても追う価値があり、あの客層はもう合わない、という話になります。

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ユニットエコノミクスUnit economics

顧客一人、注文一件あたりの売上と費用。伸ばすことが価値を生むか壊すかを見る。

全社まとめた数字でなく、都市ごとのユニットエコノミクスを見せて。

会社全体ではなく、お客さん一人を見る癖。平均した数字は、具合の悪い客層が隠れる場所です。

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ルール・オブ・40Rule of 40

売上の成長率と利益率を足して40以上、というソフトウェアのおおまかな目安。

成長25%で利益率マイナス30%。ルール・オブ・40には遠い。

おおよその目安なのに、判定のように扱われます。ひと息で言い切れるので、投資家が好んで持ち出します。

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金曜に、取締役会がこれを読む

資料の言葉はひとつずつ拾われ、ひっくり返されます。質問も同じ語彙で返ってきます。答えるのは、そのときのあなたです。

質問と答え

投資まわりのほかの言葉は。

トピックのページに、150語すべて。ここにあるのは十二語で、ひとつの資料づくりに出たぶんです。

なぜ英語が並んでいるのですか。

取締役会の資料は英語の略語で書かれ、部屋では日本語でもめます。カードは両方を並べて持っているので、片方だけを覚えて話が食い違うことがありません。

説明はどこから。

「スタートアップとベンチャー」のトピックから。アプリと同じカードです。

来期の同じ資料には、別の十二語が要ります。

「スタートアップとベンチャー」のトピックには150枚。アプリでは、1日に数枚ずつ届きます。

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